成人病の素因が胎児に作られるメカニズムと葉酸の関係

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成人病

胎児期はあるいは新生児期の低栄養が何十年かの後、成人病の発症に関わってくることは不思議に思うかもしれません。

しかしそれを納得させる研究結果が次々と出てきています。

そのメカニズムは二つあると私は考えています。

その1つは、解剖学的な構造の変化が胎児期に生じてしまうことです。
例えば、胎児の腎臓ができてていくときに低栄養にさらされると、腎臓の糸球体などがアポトーシスを起こして数が減少します。

一旦減少した細胞はもはや数を増やすことはできません。

このことは実際に人の体で確認されています。

交通事故で亡くなった人の腎臓をスライスして、糸球体の数を丹念に調べてみると、生まれた時の体重が少なかった、つまり胎児期に十分な栄養を得られずに生まれてきた人では腎臓糸球体の数は少なく、その人には高血圧が発症していたのです。

このように分子レベルでの解明が進んでいます。

二つには、子宮内で遺伝情報を伝えるDNAに異常が起きると、出生後に栄養状態が良くなっても、それが変化することなく続いていく現象があげられます。

とりわけ、葉酸は核酸の合成に欠かせない栄養素であると同時に、DNAの機能を制御する働きを持っています。

体の中に葉酸が不足すると、ホモシステインという有害なアミノ酸が増えるのです。

それはDNAやたんぱく質のメチル基の代謝がスムーズに行われていないことをおみします。
この代謝系には、葉酸のほか、ビタミンB6・ビタミンB12・亜鉛といった栄養素が必要とされています。

これらの栄養素が慢性的に不足すると、この代謝の回路がスムーズに回らなくなって遺伝子のメチル化の程度が変化します。

すると遺伝子配列そのものは変わらなくても、遺伝子の機能が変化します。これが成人病です。

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